うつ病と大学院生の日記

大学院在学中にうつ病を患った一人の人間。そんな凡人が書く日記。

07.別人になったような気分

大学院に入学してから、自分は別人になったと思う。というのも昨日、昔のクロッキー帳をなんとなく開いてみたのだ。

そこに走らされていたペン跡はなんと生き生きしていることか。下手くそなスケッチだらけだったけど、それは驚く程瑞々しくみえた。建築のけの字も分からない青二才が書きなぐった、一生懸命な足跡。いまの自分と照らし合わせると、情けなくて、涙が溢れた。

いまのスケッチブックを開いても、そこには文字の羅列ばかり。先生の発言を一言一句取りこぼさないよう、汚い文字の断片ばかりが残してある。自分の意志がどこにも見当たらない。見直しても、楽しくない。ワクワクしない。かつての自分は何でこんなに頑張れていたのだろう。何を目指していたのだろう。どんなことに希望を抱いていたのだろう。

もう一度、あの時の気持ちを思い出しながら、白紙のスケッチブックに立ち向かってみた。何も書けなかった。ペンが走らない。余計な邪念ばかりが邪魔をして、結局、文字で埋め尽くしてしまう。何をしているのだ。建築はもっと楽しいはずだ。ワクワクを絵にするだけの作業、それも、自分だけしか見ないものなのに、手が動かない。

今日もまた、何も進めることができなかった。「いやいやそんなことない、うまくいかなかったことだって進歩だよ」と、もう一人の自分が囁いてくるけど、そんな考え方が自然にできるんだったら、最初からこんな調子に陥っていない。ちゃんと進めるだろうか。不安ばかり。

自分が、自分でなくなってしまったような感覚。これが病気の症状なのか?そうだとしても、足かせひきづりながらでも、何かをつくらないと。そうしないと、いつまで経っても状況は変わらない。卒業したい。