うつ病と大学院生の日記

大学院在学中にうつ病を患った一人の人間。そんな凡人が書く日記。

24.もう十分

11月も終わろうとしている。そろそろ12月。提出まで3週間程度になった。最近は完全に頭がショートし、かなり辛い時間だった。人生の中で一番辛い時期なのだと思う。

 

今日は診察日だった。とにかくやばいこと、言葉にするのも難しい程頭がパンクしていること、何が分からないのか分からない状況だってこと、色々愚痴をこぼした。そんな中で、救われた言葉があった。「もう十分苦しんだよ」って言ってくれた。辛くて、逃げ出したくて、もう修士なんてやめたいってくらい落ち込んでいた自分にとって、それは本当に救いの言葉だった。

 

こんなにも苦しんだ、だからもう十分なんだよって言ってくれた。下手っぴな作品だろうと、この苦しんだ時間は無駄じゃないって言ってくれた。先生は頑張れなんて一言も言わなかった。とにかくやるしかない!頑張れ!って言ってくる人たちとは違って、もう大丈夫だよって言ってくれた。そりゃ勿論、これからの追い込みを頑張らないといけないことは確かだけど、それでも、こんなにも苦しんだって認めてくれた。こんなにも優しい言葉、中々見つかるもんじゃない。

 

もう嫌で嫌で、プライベートな日記にはいつも「もう無理」「やめたい」「逃げたい」とネガティブな言葉を羅列していたが、今日は少しだけホッとした気分になった。

 

もう十分苦しんだ。上り坂はここまで。ブレーキを壊さないよう、ゆっくりと坂を下るだけ。

 

学校の方の先生は確かに的確なアドバイスをくれる。間違いなく、その通りにやっていれば良いものはできる。だけどそれは、自分というボロ自転車にバイク用のエンジンを搭載させられたようなもので、それを駆使すれば思いっきり前に進めるが、いかんせん躯体がボロ自転車なので当然ぶっ壊れる。現に自分はぶっ壊れた。ゼミの度にガソリンを注入され、さぁ走れって言われてもそりゃどだい無理な話なわけで。ボロ自転車もぶっ壊れ、重いエンジンは完全に足かせになり、上り坂を手押しで進んでいるような状況だった。それでもガソリンだけはぶっこんでくる。もう進めないくらい重かった。

 

だけど、診療科の先生は、その重くて邪魔なエンジンを少しだけ取ってくれた。もう一度自転車をこぎ出せるよう、背中を押してくれた。もう十分。もう十分苦しんだ。この言葉は、これからもずっと、大事にしていきたい。

 

辛いことには変わりないけど、きっと何とかなる。紛いなりな作品でも、提出すればこの地獄からも逃げ果せる。もう少し。もう少しだ。