うつ病と大学院生の日記

大学院在学中にうつ病を患った一人の人間。そんな凡人が書く日記。

16.ダメ院生

ここのところ、とにかく手を動かして作業、作業、作業の毎日であった。心の調子は以前よりかは良くなっている気がする。薬が効いてきたのか、はたまた制作の調子が良くなってきたのか、定かではないが、心が安定しているのは良いことだ。しかしながら、毎回ゼミの前夜にストレスで嘔吐するのが習慣的になっているのは残念なことだと思う。客観的に。

 

最近になってDI(=ダメ院生)という言葉を知った。2ちゃんねるで500近いスレッドがたっている。対義語はEI(=エリート院生)らしいのだが、自分はどちらだろうか。はっきり言えるのはダメ院生ではない、ということだ。虚栄心とか見栄とかではなく、シンプルにそう思う。自分がダメ院生と名乗っていけない気がするのだ。本当のダメ院生にはある種の憧れめいた感情をもつ。

「なんとかなるでしょ」とか「まぁ大丈夫でしょ」とか、窮地に立たされている状況で、プライドを投げ捨て自分本位に生きるその姿勢に、関心する。自分は、ちっぽけなプライドをかかげ、それを必死に守るかのように優等生ぶって、そのくせ能力は低いもんだから簡単なことで傷つくし、真面目すぎる性格もあって、転げ落ちるように鬱になった。

真性のダメ院生が備える図太さ、適当さ、それでも何とか生きていくことのできる生存能力。とてもじゃないが真似ることができない。そういう意味で、自分はダメ院生ではないと思うのだ。ダメ院生の肩の抜き方は本当に尊敬に値する。

しかし、だからといって自分はエリート院生、というわけでもない。どちらにも振り切れていない、中途半端な人間。単なる真面目ちゃん、といったところか。なんとも煮え切らない気持ちでいっぱいだ。

 

10月に入って、修士制作が収束していくのを感じる。まったくもって仕様もない、汚い作品ではあるが、先生の助力もあって少しずつ形が見えてきた。そろそろ風呂敷をまとめにかかる時期に突入した。ここまで至るのに、どれだけの壁を乗り越えてきたことか。どれだけの艱難辛苦を味わってきたことか。

 

長かった。終わりのゴールテープが少しずつ見えてきた。あともう少し。きっとこの文章を読まれている学生の方々も、同じように苦しみを抱えていることと思う。皆それぞれ、それぞれの次元の中で苦しみ、悲しみ、泣き喚いてきたと思う。それでも、いつか終わりがくる。何とか、底辺に近い人間なりに乗り切っていきましょう。全部終わったら、皆で乾杯しましょう。

 

あともう少し。歩みを進める。