うつ病と大学院生の日記

大学院在学中にうつ病を患った一人の人間。そんな凡人が書く日記。

10.無能

8月に入ってから、一度も集中して作業に取り組めていなかったことに気付いた。SNSではお盆ツイートに嬉々としている連中や、陽気な調子で連絡してくる旧友に、どこかモヤモヤした気持ちというか、正直イラついてしまっていた。SNSで落ち込むことは良くない。そんなことは分かっているし。「元気そうじゃん!」なんて言ってくる友人に、「元気な期間だから外に出てんだよ」って、尖った言葉をぶつけたくなる。今まではこんなことなかった。人に、しかも親しい人に、イライラするなんてことはなかった。

 

薬の量が増えた。睡眠導入剤の量も倍になった。確かにそれで眠ることはできるけど、一日中眠い。集中力がない。何も手につけられていない自分が、本当に情けない。体の上に鉛でも乗っているかのように、体の動きが鈍くなる。建築のことを考えるだけで、頭が痛くなる。何をしているのだろう。

 

食事をしているだけでも罪悪感が強く、涙がこぼれた。頭の上から、「何もしてないのに飯は食うのかよ」「家畜と同じだな」「無能め」って、嫌味な自分が責め立てる。ばーかばーか、うるせーよ!って、何とか振り払っても、希死念慮を少なくすることができただけで、進歩はない。マイナス要素を減らせただけで、立ち止まったままだ。

 

ゼミまで残り6日。進捗なんてない。作業なんてしていないのだから当然だ。本だって、読む気になれない。多分、うつ病と闘いながら仕事や学業をしている人にとって、デッドラインは、言葉の通り「死の線引き」だ。何も手につかない。それでも、締め切りだけはやってくる。言い訳して逃げればいいのか。泣き喚けば理解を仰げるのか。どうしたら、どうしたらって。焦る自分がいる。