うつ病と大学院生の日記

大学院在学中にうつ病を患った一人の人間。そんな凡人が書く日記。

20.間に合わない

「間に合わない。修士制作、間に合わない。」ずっとそんな言葉が頭の中をぐーるぐる。手を動かすことができず、迫り来るデッドラインへの焦燥を抑え込む毎日。不安と焦りが、自分の手をとめている。どうしたものか。いつもタイムマネージメントは苦手だ。どれだけの作業量に、どのくらいの時間を割り当てるべきか、いつも迷う。そして失敗している。妥協と諦めを使って、提出自体は何とかこなせているものの。

 

今日は診察日だった。シンプルに今の焦りを伝えると、やっぱり焦りすぎな性格を指摘された。ただ、一つ響いた言葉がある。「良いものをつくろうとするのではなく、いい加減なものをつくらないようにする。」なるほど、確かにそうだと思った。良いものを作ろうとして、本当に素敵な作品ができれば最高だろうが、今の自分にできる精一杯を注ぎ込んで紛いなりにも提出すれば、それは良いものになり得るのだと。つまり、つくったものが、意外と良いものだったって、後天的に成果が追いついてくるイメージ。確かに、提出する前に評価を想像している場合じゃないよな。結果は後からついてくるもの。いつか訪れる締め切りに焦って最悪な結果を想像するよりも、とにかく何か提出して、評価は後で待つ。それが悪いものだとしても。

 

親にも、良い言葉をもらった。「何とかなる。何とかならなくても、うちに帰ってらっしゃい」うん、何とかならなくても、きっと大丈夫なのだと思った。帰る場所がある。いつか終わりはくる。何とかなる。たとえ何とかならなくても、終わりはくる。教員に失望されようが、叱責をくらおうが、何とかなる。「何とかならなくても、大丈夫」。そう思うだけで、少し心が落ち着く。

 

とにかく、ゴールテープを切ることが大事だ。歩くようなペースで進んだ方が、焦って全力疾走するよりも早くゴールするかもしれない。うさぎとカメみたいに。中間講評が終わって、やるべきタスクの多さに茫然自失していたけど、うん、何とかなる。何とかならなくても、提出できれば大丈夫。診療科の先生にもよく「紛いなりにも、だ」と言われる。汚い作品になろうとも、失敗だったねって笑い話にすれば良い。今はとにかく、やり遂げることが重要なのだ。

 

ここのところ、気持ちが安定しておらず、辛い日々を送っていたが、ここで一旦落ち着こうと思う。大丈夫、本当に、大丈夫だからと、自分に言い聞かせながら。